揚げ足

相撲などで、地面を離れて浮きあがった足のこと。
相手の足が宙に浮き上がったのにつけ込んで、その足を取り、倒すことを「揚げ足を取る」という。
これが転じて、人のことばじりや言い誤りをとらえて、なじったり、皮肉を言ったりするのに用いられる。

居候

他人の家に住んで、食わせてもらっている者をいう。
居候の語は、動詞の「居る」にていねいの意を添える「候」が付いたもので「います」がその原義。

うのみ

人から言われたことを十分に考えず、またよく理解しないまま取り入れることを「うのみ(にする)」という。鵜のようにものを噛まずにのみこむことが原義。

関の山

それ以上はできないなど、できる限度をいう。
古くは万葉集にも関所のある山を「関山」とあるが、そこからどうして上記の意味になったのか不明。
一説に、東海道五十三次の関宿の山鉾、山車から出たともいわれる。

寄席

落語、講談、漫談など大衆的な演芸場をいう。
「よせ」は人寄せの席の略で、「海録」(随筆、山崎美成著)の中に、明和の末、安永の頃が初めと書かれている。

狼藉(ろうぜき)

物が散らかり、乱雑なさまをいう他、乱暴な振舞いにも使う。
狼(おおかみ)が草を藉(し)いて寝たあとが乱れているところから出たと言う。
狼も藉もともに「乱れる」の意味を持つ中国起源のことば。

とちる

やりそこなう、まごつくなどをいうことば。
元は、芝居で役者がせりふやしぐさを間違えることとして使われていた。
うろたえ、あわてることを「とちめんぼう」があり、その「とち」を活用させて「とちる」という語ができた。

のれん

「暖簾」(のれん)は、「のんれん」「のうれん」ともいわれ、
元は禅寺ですきま風を防ぐ為に用いた垂れ幕。
江戸時代以降、商店の軒や店先に屋号などを染め抜いてさげた。
奉公人が独立して同じ屋号を名乗ることを「暖簾分け」という。

山の神

奥さん(妻)のことをこういう。
語源は諸説があるが、いろは歌に「おくやまけふこえて・・・」とあり、「おく」が、「やま」の上にあることからきたとの事。
ただ取り乱した姿を山岳信仰における山の神にたとえたというせつもある。

ねこばば

拾ったものを黙って自分の物にしたり、悪事をはたらき知らん顔をしているなど
に使われる。その原義は、猫の糞で、猫は糞をした後、糞に土をかけて隠してしまうところからきたらしい。

みっともない

見苦しく、人が見たくないと思う様をいう。
これは「見たくもない」の音便形で「見ようもない」の転で「みともない」に促音が加わったもの。

やま

「山をあてる」「山があたる」「山をはる」などと使われる。
 山は鉱山の事で、鉱脈を掘り当てて、万一の成功を果たすことからきた。

水入らず

うちわの者だけで他人が混じっていない親密な関係をいう。
親しい者の中に、関係の薄い者が混じっていることを「油に水が入ったようだ」などという。

目くじら

目くじらは、目の角、目の端、目じりのこと。
目角を立てて他人の欠点を探し出すことを「目くじらをたてる」という。

目白押し

大勢で込み合い押し合い、身動きが取れないこと。
鳥の「メジロ」が木の枝にとまるとき押し合うように、多数並んでとまることからできた。子供の遊びとしても使われた。(多数が押し合って外に押し出す遊び)

草分け

ある物事を他にさきがけて初めて行なうこと、又そのことを行なった人をいう。
これは、江戸時代の荒地を開墾して村や部落の基礎をつくること、又その人をいったことから転義したことば。
土地を開墾して村をつくった名主を「草分け名主」とよんだ。

くら替え

今は職を替えることで使われるが、江戸時代は遊女や芸者が住み替えて他の店に移ることをいった。
「ねぐら替え」「くるわ替え」から転じた語。

ごろつき

することもなく、ゴロゴロしていることを「ゴロつく」といい、
その名詞形としてできた。江戸時代の流行語で、無頼の少年が一定の住所や職業をもたず、人の許に寄宿ことをいった。

おてんば

「大言海」では、オランダ語の「オンテンバール」(御しがたい)から出たとのこと。又、別に近松などの作品に出てくる「てんば」(上方の言葉で軽はずみなこと)におを付けて「おてんば」となったという説も。
江戸ことばではあくまで若い娘にのみ用いるようになったという。

くだをまく

酒に酔ってわけのわからないことをくどくどと言うこと。
「くだをまく」の「くだ(管)」は糸車の糸を巻きつける軸のことで、糸車を回すとその管が「ぶんぶん」音をたてることから、酔っ払いのくり言をいうようになった。

だいなし

めちゃくちゃになって使い物にならないことをいう。
これは、「台無し」の意で、台は仏像をのせる台座のこと。
台座は、仏像の威厳を保つのに無くてはならないもので、その台座がないことから、面目がまるつぶれになることの意。

あばよ

別れの挨拶。
「さあらばよ」「さらばよ」が詰まってできた語。「さらば」もある。
又、小さな子供が別れのとき「あばあば」ということから「あばあばだよ」を略したいいかたとも。
ちなみに、「さよなら」は「それならば」の意から転じた語。

一か八(ばち)か

結果の予測がつかない時、運を天にまかせ思い切って事を行なうこと。
本来は、博徒のことば。「一か罰か」で、賭場でサイコロのメに一がでるか、しくじるかという勝ち負けの意味。

おっかさん

時代劇でおなじみ、涙を誘う親子の情、こどもが思わず母に叫ぶ・・・母の呼称。
当時の中流以上では「おっかさん」が使われていた。
これは、中世から子供が母を呼ぶことば「かかさま」に「お」をつけ、「おかかさま」から転じたもの。下層階級では、「おっかあ」が使われていた。
これは、「かか」に「お」をつけた「おかか」から転じたもの。

置いてけ堀

置き去りにする事を言う。
江戸本所七不思議の一つ、今の錦糸堀付近の伝説で、夕暮れ時魚を釣って帰ろうとすると、池の中から「置いてけ」と声がかかり、みんな驚いて逃げて去ったことから起こった言葉のこと。

かけおち

今は男女が付き合いを反対されて他の土地に逃げて一緒に暮らす事に
使われるが、古くは「欠け落ち」といい、戦いに敗れて逃げ去ることから出ていることばのことで今とはだいぶ趣が違う。

へそくり

内緒で貯めたお金をいう。
「へそくり」は「へそくり金」の略で江戸時代には単に「へそ」とも言われた。
「へそ」は、つむいだ麻糸を玉のように巻きつけたもので、「へそ」を操って貯めたお金の意味からできたとのこと。

三国一

結婚式の席で主役を誉める時、「三国一の花嫁」などとよく使われる。
三国は、江戸時代「唐土、天竺と日本」すなわち「中国。インド、日本」の3国を指しており、これで世界一といったニュアンスで使われた。

ちゃきちゃき

江戸っ子であることをことさら強調する言い方として、「ちゃきちゃきの江戸っ子」と使われる。
この「ちゃきちゃき」は、「嫡嫡(ちゃくちゃく)」の音がなまったもの。
嫡子から嫡子へ受け継がれ、家筋が正しいことから、生粋の、正真正銘の意味で使われるようになったとのこと。

二枚目

美男子のことを二枚目というが、この言葉は投じの芝居用語から出ている。
一座の主役に継ぎ、番付的に二番手(番付の第2枚目)にくる役者ということから美男子の人気役者に使われるようになったとのこと。
悪役にも「二枚目敵」と言う言葉があるそうである。

おいらん

自称の語「おいら」に助詞の「の」がついた「おいらの」の転じたもの。
禿(かむろ:姉女郎につく少女)などが「自分の姉さん」と呼んだところからきたとのこと。

かまとと

実際には知っていることを知らないふりして可愛げに見せること。
上方の遊里で起こった語で「かまぼこもトト(魚)か」と聞くところからでたとのこと。

首ったけ

立った姿勢で足元から首までの高さを言う。
それが転じて、首まで浸って溺れかけているということで、すっかりほれ込んでいる意味になったとの事。