■申の刻(午後4時頃)
  たいくつな昼見世もそろそろ終わり、やがて本番の夜見世をむかえる
  昼見世をひく其頃は 売れ残る女郎があくびも六つ、七つ時
    
 ■酉の刻(午後6時頃)
  暮れ六つの鐘がなると夜見世のはじまり、清掻き(すががき)と呼ばれる
  客寄せの三味線が雰囲気を演出。
  格に応じて決まった位置に座り、張見世を行う。
  暮六つの鐘に廓の夜は明けて うかれ烏の騒ぐ見世先

 ■戌の刻(午後8時頃)
  廓内の賑わいも最高潮に達する。
  はやすのもよし吉原の 戌の刻椀久をどる客人もあり

 *椀久は、艶名高い豪商で芝居や踊りにもなっている。

 ■亥の刻(午後10時頃)
  芸者をあげての賑やかな宴会もそろそろ打ち切り、床入りの時間である。
  格好をつけて箸に手をつけなかった遊女は、用事をつくって二階から一階
  に下りて一戦に備え腹ごしらえをする。
  これにあまり時間をかけると、二階の客も待ちくたびれて腹を立てる。

  おいらんが下で夜食の長食に 二階で腹のふくれたる客
  
 ■子の刻(午後12時頃)
  夜見世は表向き四つ(10時)までがきまりだったが実態は九つ(12時)
  までの営業が黙認されていた。
  そこで引け四つに弊店の知らせの拍子木を打たず、大門を一様閉めて
  くぐり戸から出入させて、九つになって四つをまず打ち、すぐに九つを打った。
  
  拍子木のうつ引き四つに五丁町 今大門をしめて九つ
 
 ■丑の刻(午前2時頃)
  草木も眠る丑三つ時といわれる時間だが、寝てしまってはもったいないと
  語り明かす客も・・・

  ひかされて通い廓のうかれ女に 牛ほどよだれ流しぬる客
 
 ■寅の刻(午前4時頃)
  よるもそろそろ明け始める頃、うるさい家人が目覚める前にと早々に
  廓を出ようとする客、すなわち早帰りという。
  内の首尾気づかふ客は刻限の とらの尾を踏む思いなるらん

 *出典:江戸諷詠散歩(秋山忠彌著) 文春新書

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